完璧な彼は、溺愛ダーリン
「知ってるよ。お前はそういう奴だよ」
「ま、いいじゃん。で、お姉さん。見学したいんだけど平気ですかー?」
「見学ですね、少々お待ち下さい」
受付に腕を乗せて少しだけ身を乗り出した野々村という男に私はたじろぎながら、事務所の中にいる上村さんを呼んだ。
「見学希望者なので、私行って来ますね。少しお願いします」
「はいはい~」
のっそりと中から出て来る上村さんを確認すると、私は二人を連れて館内を案内した。
「こちらが更衣室です。受付で鍵を渡されるのでその番号と同じロッカーを使用してください。
それから、鍵は腕に着用して館内をご利用ください」
「ね、お姉さん、名前は?」
「え? 私ですか?」
野々村と呼ばれた彼が私に近付くとそう尋ねる。
キョトンとしながら私が答えると、彼はウンウンと大きく頷いた。
「えっと、三石です」
「三石ちゃんね。それじゃあ、案内よろしくお願いします!」
「やめろ、野々村。全くお前は。ごめんなさい。三石さんでいいんだっけ?」
ビシっと敬礼する様な恰好を見せた野々村さんを後ろに追いやると、もう一人が頭を下げた。
私は笑顔で首を振りながら「はい、そうです」と頷く。
「普通名前なんて聞かないよね。ごめん、無視してやって。悪い奴ではないんだ」
「広瀬、何でさ。可愛いじゃん、三石ちゃん」
「うるせえ。まじで。確かに女は欲しいけどがっついていねえっつうの。野々村、口縫い付けるぞ」
「へいへーい」
「あ、はは」
もう一人は広瀬と言うらしい。私は苦笑いをすると、案内を続けた。
素直に二人は付いて来ているからホッとした。