完璧な彼は、溺愛ダーリン
「彼女が彼氏の家に行くだけですよ?」
「……うん、そうだね。彼女、だよね。へへ、なんか照れる」
「そ、そんな事言わないでください。こっちまで照れます」
はにかんで笑う葛木さん。その顔にこっちが赤面だ。
無自覚でこういう事を言うから、タチが悪い。
それとも、わかっていて言っているのだろうか。
だとしたら、更にタチが悪いけど。
「あ、そこ右でお願いします」
葛木さんが信号を越えた辺りで運転手にそう言った。
どれだけ走ったのだろうか。
家がわからないから、今私がどこを走っているのかもわからない。
窓から見える景色はビル群から住宅街へと移り変わっていた。
もうすぐなのかな。
相変わらず、繋がれた手。それを見て、自然と顔が綻んでいた。
「そこ左に曲がったら停めてください」
そう伝えると運転手は返事をして、指定通りタクシーを停めた。
葛木さんが支払いを済ませ、扉が開くと私の手を引いてくれた。
タクシーから降りた私は葛木さんに腰を抱かれ、目の前のマンションへと進んで行く。
想像していた通りの綺麗なマンションだ。
自動ドアを抜けるとオートロックが設置されたフロア。
鍵を差し込み、解除すると先へと進む。