完璧な彼は、溺愛ダーリン
「ほんっとうにカッコいいよね。スパダリ」

「ね、顔だけじゃなくて態度まで爽やかだし」

「そう!そこが他のイケメンと違うのよ。俺様は二次元で十分でしょ」

「はは、そうだね」

「彼女とかいるのかなあ」

「どうだろうね。でも指輪とかしてないよね」


首を捻りながら、顎に手をあてさっきの葛木さんを想い浮かべる。
確か、薬指に指輪をしていなかった。


「そうなの!でも、仕事中とかしてないって事もありえるでしょ?」

「ああ、確かに。いつも仕事帰りに来てる感じだし」


そうなのだ。スパダリこと、葛木さんが来るのは専ら平日の夜。
土日に来る事はあまりないし、昼間にもない。


「なんだかんだ、お客さんって域を越えないよね」


そう言って、栞はがっくしと肩を落とす。
出会いがないわけじゃない。
こうして素敵なお客さんもいる。

だけど、受付という立場上軽く会話するだけで終わってしまう。


就業中大体二人体制だし、受付が一人になる時もあるが、それは閉店間近。
そんな時間となればお客さんもまばら。
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