強引部長の独占ジェラシー
私は言われるがままに頷くと、手をひら、と振る河原くんの後ろ姿を見送った。
どうやら、パンフレットをデザイン部に渡しに来ただけだったらしい。
珍しく真剣な顔をしていたから、ちょっとビックリした……。
すると、河原くんが出て行ったのを確認した彼女は愚痴るように言った。
「河原さんって、飲みに行っても私にお説教してくるんですよ〜男前だけどそこはチョットなぁ……」
石原さんの言葉に苦笑いしか出来ず、私は誤魔化すように自分の作業に取り掛かる。
自分が途中まで保存していたデータを起動して作業しつつ、彼女が横に来てやり方を聞くことが何度かあったけれど、それでも全部私が仕事を引き受けることは避けられた。
これは河原くんのおかげかも。
なんて、のんきな事を思っていたら……。
16時を過ぎた頃、彼女が泣きそうな顔をして私の元にやって来た。
「川島さん、助けて下さい」
「どうかした?」
もう外は陽が傾き始めている。そんな中、彼女は自分の手をぎゅっと握りしめながら私に言った。
「突然パソコンがシャットダウンしちゃって、データが飛んじゃったんです」
「えっ、データはどこまで保存出来てる?」
「半分までです。お昼の時保存したデータまでで……もう今からじゃ期限に間に合いません……」