強引部長の独占ジェラシー
彼女の顔は活き活きとしていて、なんだか私まで嬉しくなった。
それから石原さんと一緒に部長に報告に行き、私たちはそのままオフィスを出るエレベーターに向かっていた。
「純夏ちゃん」
その時、かけられた声に足を止めると、そこには河原くんが立っている。
「あっ、河原くんお疲れ様。まだオフィスに残ってたんだね」
隣で石原さんもぺこ、っと頭を下げるけど、また何か言われると思ったのか「それじゃあ私はここで……」なんて言って足ばやに去っていってしまった。
逃げたな……。
「今日は取引先でもらった資料が必要だからって言われて戻って来たんだ。もう帰るけど、ちょっと話さない?」
「うん、いいけど……」
そうやって河原くんがやって来た場所は、ビルのテラスに抜ける階段であった。
てっきり外に出てどこかの店に入るのかと思っていたから少し拍子抜けした。
自販機が置いてあるそこはいつも部長が利用しているところだ。それだけでなんだか緊張してしまう。
「けっきょく石原さんの仕事引き受けたんだ?」
河原くんは自販機にお金を入れるとブラックコーヒーのボタンを選ぶ。ガコン、と音を立て出てくるコーヒーを取り出し口から取ると、まだ光る自販機を指差して「どうぞ」と言った。
「ありがとう。ううん、フォローをしただけだよ」