強引部長の独占ジェラシー
「へ?」
「何だ、腹は空いてないのか?」
「あ、いや……お腹空いてますけど……私とですか?」
自らを指差しながら訪ねると、部長は変なものを見るような目で言った。
「お前以外に誰がいる」
ーー意外。
完璧過ぎるがゆえ、あまりそういったことに時間をかけない人だと思っていた。だけど、とんだ勘違いだった。部長とご飯なんてこんなチャンスはきっと滅多にないだろう。
「ぜひ、行かせてください」
ぺこっと頭を下げると、部長は柔らかく笑ってこの辺にオススメの店がある、と歩き出した。
ここら辺は詳しいんだろうか。それとも大井雑誌を訪問した帰りに見つけたのかな?そう思うと少し可愛らしくて、私はバレないように後ろでくすりと笑った。
「ここだ」
5分くらい歩いたところで、部長が足を止めたのは落ちついた雰囲気の和食屋さんだった。店内には上品な音楽が流れ、温かみのある照明が部屋を照らしている。
案内された席に座り、メニューを手に取るとなかなか自分では来ないような価格層のメニューがずらりと並んでいた。部長は何度か来たことがあるのか、手慣れてた手つきでメニューを見ると、すぐにそれを置いた。
「暁の献立」や「富士の献立」など上品な名前がメニューにつけられ、料理内容とともに並んでいる。