強引部長の独占ジェラシー
変に思って部長に視線を移せば、まっすぐにある場所を見つめている。その視線は向かい側からやって来る女性に映されていた。
スラっと伸びた長い足にショートカットがよく似合うその女性は顔を伏せているためよく見えないが、長い腕を隣にいる背の高い男性の腕にしっかりと巻きついている。
お世辞にもカッコイイとは言えないが、その男性が身に纏っているものは高価なものであることが知識のない私でも見てとれた。
だんだんと距離が近付いた時、それは確信に変わる。あの日はもっと暗くって、そう、彼女は怒っていた。
間違いない。部長の、元カノだ……。
私達の横を通り過ぎる時、少し視線を落として彼女は顔を隠した。その行動にどういう意図があったかは分からないけれど、きっと相手も気づいてた。
横断歩道を渡り終える時間はわずか30秒くらいだったはずなのにそれは何十分の出来事のようにも感じた。
「まさか、会うとはな」
部長の声で我に返ったと同時に疑いが確信に変わる。
やっぱり元カノだったんだ……。
それも新しい相手を連れているなんて。
どうやって声をかけたらいいだろう。
気づけばぐっと眉間にシワが寄っていた。
部長は今、何を考えてる?
スピードを緩めたということは少なからず何か思ったということ。それがただ驚いただけなのか、それとも切なさから来たものなのか、はたまた未練なのかは分からない。