強引部長の独占ジェラシー
部長を満足させられるかな……。
不安に思いながらも足を進めること10分。そこのバー前までやって来た。
「ここです」
奥まった場所に小さな看板が名前を照らす。
中に入っていくと薄暗い部屋に灯りが灯されていて大人っぽい雰囲気を醸し出していた。
やっぱりこの雰囲気は慣れない。
部長と一緒ということもあってが緊張で僅かに肩に力が入っていた。
カウンター席に案内された私たちはさっそくマスターに一人ずつお酒を頼んだ。部長はウイスキー、私はカクテルを。その後、メニューを見て食べる料理を決めた。
からん、からんと氷とグラスが音をたててかき混ぜられる。その音はとても心地よく、私はマスターがお酒を作るところをじっと見ていた。マスターはその視線を物ともせず、手際よく作り終えると、コトっとグラスをテーブルに置いた。
すると、部長がそれに口を付けてから静かに聞いて来た。
「お前は普段からそう人のために行動してるのか?」
「ええっと、人のため?そんなつもりはないですけど……」
どういう意味で聞いているのか分からなくて言葉を濁すと、部長は続けて言う。
「俺が前の彼女に会って落ち込んでると思ったんだろう?」
落ち込んでると思った、か。
それもあるけれど、正直何て声をかけるべきが分からなかったんだと思う。
「分からないです、本当に気づけばあんなこと言っていたというか……」
「お人好しタイプか」
お人好し……。
本当にそうなんだろうか。
私の目の前に置かれたカクテルは照明が合わさって綺麗な色を放っている。
「お人好し、だけの気持ちじゃないかもですよ?」
視線の行き場をなくして、お酒を口にすると、普通の居酒屋なんかとは違う心地よいアルコールの強さが喉に広がった。