強引部長の独占ジェラシー
美味しい。
「どういう意味だ?」
「秘密です」
部長の言葉にそう返して、肩をすくめながらちびりと飲んだお酒は身体を巡る。さらにもう一口お酒を煽ると部長も同じようにしてウイスキーを口にした。
「お前は面白いヤツだな」
「そ、そうですか?」
面白いなんて、初めて言われた……。
グラスを手に持つ部長はバーの雰囲気とピッタリ合っていていつも以上にカッコよさを感じた。
部長のこんな姿を見られるのは、私だけだと思ったら自然と口角が上がる。
「そういえば、お前がうちの会社に入って来た理由はなんだったんだ?だいぶ今更だが、2年くらいお前と関わる機会が無かったからな」
「そうでしたね」
部長とこんなに話すようになったのもここ最近の話で、前までは報告して、挨拶する程度だったから、まさか自分が部長とこうして2人で飲んでいるなんて前の私は想像も出来ないだろう。
うちの会社に入ろうと思った理由か……。
懐かしいな。あの時、どん底にいた私を救ってくれたのはある人の言葉だった。
それは、3年前こと――。
当時大学4年生だった私は就活にかなり苦戦していた。
どんな会社につきたいとか、そこでどんなことをしたいか、どんな未来を想像しているかなど面接で当たり前のように聞かれる質問に私は答えることが出来なかった。
何がやりたい、なんて明確なものはなくて正直、どこの会社を見学したって同じ。だったら入れればどこでもいいじゃないか、という気持ちが強かった。
当然、そんな気持ちでいる人間が受かるはずもなく、私は気づけばことごとく色んな会社に落とされた。