守りたい、不器用な人。~貴方と始める最後の恋~
熱くなる顔を必死に隠そうと俯こうとしたがそれは叶わなかった。
大将の不気味な笑顔のせいで。


「でも、そう言うわけにはいかねぇなー。
俺も男だ! 男に二言はない! しっかりとお前たち2人には借りを返さないとな!」

「借りって……そんな大袈裟な……」

「そうですよ! 俺たちは……」


私に同意する山瀬さんの言葉を遮る様に大将の大声が響き渡った。


「うるせぇー! もう決めた事だ!
ガタガタ抜かすな!」


随分と理不尽だが、大将の性格は百も承知。
小さくタメ息を吐いて、私の横で唖然とする山瀬さんに首を横に振った。

”もう何を言ってもダメ”、そう想いを込めて。


「……」


山瀬さんは私の言いたいことが分かったのか、小さく頷き返してくれた。


「分かりました。大将の優しさに甘えて……ミサキさんと出かけてきます」


少し照れたような声色。
だけど、何処までも真っ直ぐで私の胸にストンと落ちた気がした。
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