守りたい、不器用な人。~貴方と始める最後の恋~
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あれから私たちは2人で映画館に来ていた。

山瀨さんの手には2枚の紙がある。

数分前のことを思い出しながら小さく目を閉じた。


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『ほらよ! これは俺からのプレゼントだ!』


そう言って渡されたのは2枚の映画のチケット。
それも、前に私と山瀨さんが観たいと言っていたもの。

大将の優しさが嬉しくて……。
私たちは顔を見合わせて小さく頷いた。


『ありがとうございます』


声が重なって、2つの笑顔が大将に向けられた。




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