守りたい、不器用な人。~貴方と始める最後の恋~
目の前にやってきたチーフを見上げれば、ふわりと優しい笑顔を向けられた。


「チーフ……?」


呼びかけても何も答えずただ黙ったまま笑っている。
そんな状況に戸惑いを隠せずもう1度呼ぼうと口を開き掛けた時


「俺は……海咲が好きだ」

「えっ……」

「……まあ、そういうことだ」

「あ、あの……」

「じゃあな、おやすみ」


ポンと私の頭に手を乗せるとそのまま背を向けて自分の部屋へと戻っていってしまう。


「い、今……何が……」


訳が分からなくて固まっていれば、豪快な笑い声が響き渡った。
< 204 / 297 >

この作品をシェア

pagetop