鏡の先の銀河鉄道
 「どいう事?」
 「よくある事だよ。この銀河鉄道は、途中で乗ることは出来るんだ・・・降りることができないだけで。」
 
 『降りることができない』
 
 それが、駅に着かないとという意味なのか・・・ジョバンニに聞くことが出来なかった。ジョバンニの冷たい感情が怖かったからだ。彼が、俺に対して怒りを表すのが怖い。静かに侵食するように伝わるその感情に、恐怖を感じていた。

 そして、銀河鉄道はゆっくりと走り出した。
 
 静かな車内に、扉の開く音が響いたのは銀河鉄道が走り出してからすぐのことだった。
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