鏡の先の銀河鉄道
 この二人の知っている『カムパネルラ』という人間は、明るい奴らしい。だからといって、俺がこいつらの知っている『カムパネルラ』という人間を演じる必要はない。
 カムパネルラと呼ばれる存在も俺かもしれないけど、俺はそいつじゃないから。
 
 俺は『    』だ。
  
 
 俺は・・・。
 
 
 『    』だ。
 
 
 俺は・・・。



 
      誰だ。
 



 頭の中がおかしくなる。
 
 俺は、誰なんだ。
 
 自分の名前が分からない。『カムパネルラ』じゃないのは、分かってる。違うのに、俺は誰なんだ。


 『カムパネルラ』じゃないとしたら、俺は誰。

 
 「俺は、誰だ!!!俺は・・・誰なんだ・・・。」
 泣き声に似たかすれた声で、俺は叫んでいた。
 暗闇に飲み込まれるように、俺の何もかも消えてしまう錯覚が襲う。
 「俺は、誰だ。」
 
  

 「君は、カムパネルラだ。」



 
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