鏡の先の銀河鉄道
銀河鉄道
 そして、俺は機関車に乗った。
 
 機関車の中は、ガランとした感じであまり人が乗っていなかった。
 「カンパネルラ、ここに座ろう。ここからなら、外もよく見えるから。」
 ジョバンニの向側に座った。どうして、こんなことになってしまったのか。そんな事を考えてもどうにもならないのに、そんなことばかりを考えてしまう。
 
 「理由なんてないよ。」
 
 冷たく響く声で、彼は俺の必要としている言葉をくれる。それが、恐いはずなのにどこか安心している自分がいた。
 「じゃあ、どうして俺はここにいる!」
 怒鳴るような声で、俺は彼のことを責めていた。やりばのない怒りともどかしさに言葉を荒げていた。
 「・・・・。」
 そんな俺の事を見たあと、彼は窓の外に視線を移した。それは、彼なりの合図だった。これ以上、この会話はしないという。
 そして、会話が途切れ列車に乗り込む足音だけが響く。沈黙は、恐怖と不安を煽る。それに耐え切れず、他愛もない会話を切り出していた。
 「ジョバンニ、この列車はいつもこんなに空いているのか?」
 ジョバンニは、ゆっくりと窓から視線を俺へと戻した。そして、笑顔で話し始めた。
 「そんなことないよ、この銀河鉄道は一番人気なんだよ。いつもは、ギュウギュウに混んでいるよ。この駅から出る列車だから、今は空いているんだ。」
 彼が楽しそうに話す言葉から、情報を聞き逃さないように相槌をうちながら聞く。
 「それに、この銀河鉄道はあの駅に止まるからね。」
 「あの駅?」
 「そぅ。」
 彼の楽しそうな声を聞いていると彼が、この銀河鉄道が好きなのが分かった。羨ましい、俺にはそんな風に好きものなんてないから。
 「でも、どうしたのカムパネルラ?」
 彼の突然の問いかけに驚いた。彼から何かを問いかけられるなんて想像してなかった。
 「何が?」
 「今日のカムパネルラ、少し変だよ。」
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