俺様社長の溺愛宣言
亜香里は困ったような笑みを浮かべた。

「…えっと」

困惑しながら言葉に詰まる。

「…渡辺さんは優しいし、可愛いし、私大好きな人なんです」
「…えっと…ありがと？」

「…だから、その人が渡辺さんを好きになるのも分かるんです」
「…その人って？」

相手が誰なのか聞いてみるが、亜香里は首を降る。

「…渡辺さん、好きな人いますか？」

そう問いかけられ、思い浮かんだ顔がある。でも、そんなはずないと、かき消した。

困った顔で亜香里を見れば、亜香里も困ったような笑みを浮かべた。

「…いるんですね？」
「…い、いないよ」

「…もし、その人と両想いになっちゃったら嫌だから、意地悪ですけど言いません。だから、自力で頑張ってください」

「…亜香里ちゃん」

「…あー、何か言ったらスッキリしちゃった。仕事しましょう渡辺さん！今日は私とペアですよね」
「…え、あ、うん」

相変わらずどう反応したらいいかわからずそう応えると、亜香里は笑って私の肩を叩いた。

「…もう！なんて顔してるんですか？別に渡辺さんはなにも悪くないんだし、逆に聞いてもらってスッキリしたし！渡辺さんホント可愛いなあ！」

「…あ、亜香里ちゃん！」

「仕事、仕事」

亜香里は私の背中を押して、資料室から出た。

「「「…あ」」」

私、亜香里…奏がはちあわせた。

「…お！おはようございます！あ、私先行きますね」
「…亜香里ちゃん？！」

行ってしまった。
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