俺様社長の溺愛宣言
…とても落ち着く空間。

…家庭的な料理。

…コロコロと表情を変える満里奈。

零士にとってそれらは全て、新鮮なものだった。

…食事が終わり、日本茶を置いた満里奈が零士に言う。

「…御崎社長」
「…なんだ?」

「…やっぱり私、御崎社長の所へは行けません」
「…」

「…私に会いたくなったらここに来てください。会いたくもないのに四六時中私に会わなければならなくなったら、困るのは御崎社長ですよ」

そう言って笑う満里奈に、零士は、そんな事は微塵も思わないのにと言いたかったが、それは、逆かもしれないと思った。

自分の事ばかり考えて、満里奈の事はなにも考えていないと。

「…ここに来たくなったらいつでも来てもいいと?」
「もちろんです。来たいときに来てください。あ、でも、仕事もありますし、人付き合いだってあるので、連絡してから来てくださいね?」

「…今夜は、ここに泊まってもいいか?」
「はいもちろんです…て、え?泊まる、泊まるんですか?!」

「…いいって言ったんだから泊まるぞ」
「…き、着替えとか何もないですし、明日からまた仕事ですし」

しどろもどろに答える満里奈を見て、零士は笑う。

「…笑い事じゃないですよ」
「…ここが、一番よく眠れるから」

「…ぇ」

零士の本音に、満里奈は驚く。

「…ずっと、ここ何年も、熟睡なんて出来なかったのに、さっきはよく眠れたから」

「…御崎社長」

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