悠久のシャングリラ


(ふっ、くく……)


思わず笑ってしまうほど短絡的で、
でもそのおかげでおれはーー。


『これ、なんの花?』

『さぁ? わかんない!
キレイだなって思ったのと、貴方の瞳と
同じ色をしていたから!』

『それで……、これ?』

『……もしかして、気に入らなかった?』

『……いや……』


今考えてみれば、おれはこの時から、
咲夢梨が好きだったのかもしれない。


一目惚れ、と似ていると思う。


この瞬間から、おれの世界に【味方】ができ、おれはその【味方】と共にいるようになった。


(だからかな。
咲夢梨がおれのことなんて見てないって
そう感じたのは……)




実際にはちゃんと見ている。


ただ、【男】としては見られていない。




咲夢梨にはーー気づいていないようだったけどーー好きな人が既に傍にいたから……。


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