悠久のシャングリラ


**

一秒一秒がやけに長く感じるこの空間で、
誰ひとりとして口を開かない。

いや……開けなかった。

みんなわかっていたから……。

あの過去を見たあと、
咲夢梨だけいなかったのだから。

過去の内容だけで予想がつき、
あの場にいなかったことで確信に変わった。

それをみんなが口にしなかっただけだ。

けれどクイナが言ったことで、
その事実から無意識に目を背けることが
できなくなってしまった。


(ボクたちは弱いな……。
いつまでも逃げてばかりで、情けない……)


過去からも逃げ、
館の主の存在からも逃げている。

それが自分でもわかるだけに、
自然と微苦笑が浮かんできた。

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