悠久のシャングリラ
みんなには内緒にして、
自分たちだけの物語を書きたいと……
みんなにどんな本を読みたいか、
聞きに回っていたことを思い出す。
そこから芋づる式に、
あの時の光景が浮かび上がってきた。
どんな物語にするか。
どんな物語を読んでみたいのか。
それらを参考に、
ハッピーエンドの本を……。
この世に一つしかない【物語】を
描こうとしていたことをーー。
「……だから、シャングリラ……」
ポツリと小さな声が溶けて消える。
誰の声かなんて知りたくもなかったのに、
ボクにはその声の主が誰かわかってしまった。
クイナが体の向きを変え、
腕を交差に組んだ。