春風駘蕩


「や、やだ」

思わず巽の手を叩き、スカートを整える。

だけど、巽が伸ばした足を跨いだ状態の私にはそれが限界で、足を閉じたくてもそれがなかなか難しい。

もぞもぞ体を動かしていると、焦る私を面白がるように、巽が小さく笑った。

「これ以上のことなら何度もしてるし、今夜も寝かせるつもりはないんだけど。いつまで恥ずかしがるんだよ。……ま、それが由梨香だけどさ」

「か、からかわないでよ」

「おー、顔が真っ赤」

「誰のせい……」

私は両手を顔に当て、巽の視線から逃げるように顔を背けた。

たしかに巽に抱かれたことならたくさんあるし、思い出すだけで体が熱くなるようなことを色々、そう、色々されてきたけど。

やっぱり恥ずかしいものは恥ずかしいのだ。

あたふたした心を落ち着けるように浅い息を繰り返していると、巽が私の顔を覗き込んできた。

「ちょ、ちょっと待って、今の顔、見せたくない」

思わず顔を隠そうとした手を、巽がつかみ、それを許さない。

「巽……」

か細い声でつぶやけば、巽は互いの額をコツンと合わせた。


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