春風駘蕩
「もちろん、俺からのプロポーズ。すぐにでも籍を入れて、独身生活を終わりにしよう」
このまますぐ役所に駆け込みそうな勢いでそう言うと、巽はうれしそうに額を合わせた。
久しぶりに会ったせいかスキンシップが激しいような気がするけど、それはもう、どんとこい。
額だけじゃ物足りなくて、私は巽の胸に抱きついて、頬をすりすりと寄せた。
巽の背中に回した手には思いのほか力が入ってしまい、指先が痛い。
「巽、たつみ……」
小さな声でつぶやけば、巽も私を抱き返してくれる。
どうしてこの温かさを感じられないまま仕事を続けていられたんだろう、私。
もちろん、仕事に多くの時間を割き、頑張ってきたことに後悔はないけれど、やはり、巽以上に大切なものはない。
わかっていたはずのことに改めて気づき、巽への想いが溢れ出す。
巽を、愛している。
その想いは目の奥を熱くし、涙だけでなく、言葉となる。
私は、溢れる想いを抑えきれず、もう一度、わかりやすい言葉で巽にプロポーズした。
「巽のお嫁さんに、してください」
私の言葉に対する巽の答えは、そのあとすぐに寝室に連れていかれ、私の体に赤い花を散らしながら伝えられた。