千日紅の咲く庭で
「コホン」

私と東谷くんのやり取りを静かに見ていた岳が、私の後ろでわざとらしく咳払いをした。

思わず岳の方に視線を移すと、眉間に皺を寄せている岳は、不機嫌そうな表情を浮かべている。


「岳、どうしたの？」

いつものように尋ねた私に、岳は眉間の皺を深くさせるだけ。

そして、無言のまま私を家の中に入るようにと視線だけで促した。



「ふーん、あんなのが花梨のタイプ？」

玄関でパンプスを脱ごうとしている私に、岳は不機嫌さを隠すことすらせずに尋ねてきた。


「あんなのって、何よ。東谷君はいい子だよ。営業先でも人気だし。」

東谷くんを見下した様な言い方をする岳にちょっとだけ腹がたってくる。


それに、意味の分からない不機嫌さを隠そうともしない大人げない岳にも腹がたってくる。


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