千日紅の咲く庭で
「…花梨?」

「…がく…っ、…」

心配そうな声で私の名前を呼んだ岳に、とうとう嗚咽まで漏れ出てしまう。

私はしゃくりあげながらどうにか言葉を紡いだ。



岳はそんな私の異変を察知したようだ。
「花梨、どうした?」

どうしたって聞かれても、今の私は状況なんて説明できずにいた。


岳は、私の返事を待ちわびたのだろう。

「花梨、今家にいる?」
「うん」

言葉になるかならないか、どうにか声にして返事をする。

「そこで、待ってろ。直ぐ行く」

岳は私の返事なんて聞きもしないで、一方的にそれだけを言って、電話を切った。

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