千日紅の咲く庭で
「歩けねぇんだろ?ばか花梨。ほら、乗れ」

岳は私の隣で呆れたような声を出したかと思うと、私の進路を邪魔するかのように私の前でしゃがみこんで、背中を向ける。

どうやら、私をおんぶしようとしてくれているらしい。



「岳、私本当に大丈夫だから。それに私、重いし」

「何言ってんだよ、今更。」

何を言い出すのよ、岳は。

全力でおんぶを拒否する私に、岳は眉間に皺をよせ不機嫌そうにしている。



「おんぶが嫌だって言うんなら、無理やりお姫様だっこするぞ」

岳はおもむろに立ち上がり、腕まくりを始めた岳に、私は焦った。

こんな時の岳は、本気なんだもん。


「じゃ、じゃぁ、おんぶでお願いします」

小声で伝えた私の意見に岳はまるで勝ち誇ったような笑顔を見せた。

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