千日紅の咲く庭で
細身のはずの岳の背中は、私の想像していた以上に筋肉ついていて、たくましくて大きかった。


家までの道のりをゆっくりと足を進めていく岳。

いつもの歩いている道をこんな状況で移動するのが私は恥ずかしくてたまらなくて、私はおんぶされたまま岳の肩に顔を埋めることしかできない。



岳もいつも以上に言葉は少なめだ。


「ねぇ、岳って彼女居るの?」

無言の沈黙がなんとなくくすぐったくなってしまった私は無意識に言葉を紡いでいた。


ずっと思っていたことが言葉として出てしまったとき、一瞬後悔した。


でも、きっと今なら聞けるって思った。
むしろ、こんな状況下にある今しか聞けないとも思った。

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