千日紅の咲く庭で
「…花梨、お前はどうなんだよ」

こんな時、幼馴染って皮肉だ。
岳におんぶされて顔なんて見えないのに、そのぶつくさしている口調から、岳がすごい照れているのが分かってしまう。

きっと顔だって赤くて、私がきっと顔を覗きこんだら、不機嫌そうに視線を逸らすんだろうな。



「…いるよ」
萎んだ心のままに、ぽつりと呟くように返事をした。

あんただよ、岳。
でも、もう叶わない恋って、分かった。
それに告白だってしないまま、たった今、あなたに振られたばかりなんですけどね。


「そう」
岳は別段興味もなさそうな、そっけない態度だった。
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