千日紅の咲く庭で
ひねってしまった足は、翌日整形外科を受診したら、捻挫だって言われた。


捻挫は、日に日に腫れも痛みも治まってくれて、良くなっていることが分かる。

それなのに、あの夜に傷ついた心はなかなか痛みが治まってくれなくて、今も岳の言葉を思い出すと胸の奥がひりついてしまって仕方ない。



数日経ち、捻挫もようやく良くなった日のすっかり秋めいた夜。

私は一人、美知おばさんにお招きされて、郷原家でご飯を頂いていた。

今日もやっぱり郷原家は子供たちの声が響いていて賑やかだ。


1人で食べることが多くなったこともあって、こうやって家族の暖かさに触れることの出来るこの時間が私のちょっとした楽しみにもなっていたりする。


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