千日紅の咲く庭で
今夜は金曜日。
明日は休みってこともあって、美知おばさんと2人きりでビールで乾杯した。
岳はというと、今夜はどうやら仕事のお付き合いがあるらしい。

美知おばさんも今夜はご機嫌で、二人で岳のことや私の仕事のことなんて喋って盛り上がる。


気持ちよくアルコールが入って酔ってきた気がしてきた頃、美知おばさんが含み笑いを浮かべながら口を開いた。
「ずっと気になっていたんだけど、花梨ちゃんは彼氏いないの？」

「居る訳ないじゃん。」

多分、美知おばさんにとっては娘のような私を心配して尋ねた何気ない言葉。
私は、思い切り笑って、首を左右に振った。


「それなら、岳の彼女になってくれればいいのに」

冗談とも本気ともとれない表情を浮かべて美知おばさんが私に言ったものだから、私は一気に酔いが醒めるような感覚になる。


胸の奥がひりついて、仕方ない。


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