千日紅の咲く庭で
「ほら。」

コトン、と私の目の前に岳はマグカップを置く。湯気の立つ柔らかな香りのするホットミルクは私の鼻腔をくすぐった。

岳はゆっくりソファーに座ると、どこからともなく見つけたらしいインスタントコーヒーを淹れていて持っていて、一口啜っている。



「何、これ」

「ホットミルク」

見れば分かるはずのに、わざわざ尋ねてしまった私にぶっきらぼうに岳は答える。


「んで、どう?」
「何が?」


うーん、と少しだけ唸るように考えてソファーにもたれるようにした岳は、言葉を選ぶような素振りを見せる。

「花梨の、気持ち。みたいな」

「…なんか、まだ信じられなくて、これが現実だと思えない」

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