千日紅の咲く庭で
「っそう」

聞いてきたのは岳の方なのに、なんなんだ、そのあっさりとした反応は…。


きっとそんな思いが私の表情から出ていたんだろう。



岳はコーヒーを飲み干すと、おもむろに立ち上がる。


「風呂、借りていい?俺も着替えたいし」


はっ?

予想外の岳の発言に私は目を見開いた。


「花梨、お前聞いてた?うちのお袋の言葉」

いつの間にか美知おばさんのことをお袋と呼ぶようになっていた岳は、私の反応に呆れたような表情を浮かべ、大きなため息をついた。



そういえば、美知おばさんは岳のこと置いていくから、適当に使えとかなんとか言ってたっけ。
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