千日紅の咲く庭で

「だけど、杉浦さんの表情の変化を僕がこんなに分かるようになったのがいけなかったんでしょうね」

痛々しいと思えるほどの明るさを装った声を出しながら東谷君は、両腕を大きく空を仰ぐようにして伸びをした。


「杉浦さんって、あの幼馴染の岳さんこと、好きなんですよね？」


東谷君は私に向き直すようにして、まっすぐに私を見つめた。


はっきり尋ねられると、私は何も答えられなかった。

１０月の夜は少し肌寒ささえ感じるというのに、なんだか変な汗が出てきてしまう。


そんな私の様子をみて、東谷君は確信したのだろう。
東谷君は小さく笑うと、穏やかな口調で私に話しかけた。

「杉浦さんの表情見ていたら、分かりました」