千日紅の咲く庭で

「やっぱり意味分かってなかったんだな。バカ花梨」


今夜から１人きりだって思っていたのに、もう何年も会っていなかった幼馴染が急にうちに泊まるなんて、この数日現実感のない私には思考回路が大混乱で、もう全然ついていけない。

だって、今まで付き合った彼氏でさえ、この家に泊まったことなんてないのだから。



「何で？」

思わず私の口から出てきた一言に、岳は眉間に皺を寄せる。


「何で？って、おふくろに言われたからだよ」

「別に私１人でも大丈夫だよ」


いや、１人が良いってわけじゃない。
１人になりたいかって聞かれたら、それはそれで嫌なんだけど。