千日紅の咲く庭で
鍵はひんやりとしていて、私の熱を帯びた頬を一気に冷ました気がする。
「これ、返す」
そう言って私に手渡された鍵は、我が家の玄関のカギだった。
お母さんのお通夜があった夜、私が美知おばさんに万が一のためにと預かってもらっていた鍵。
いつの頃からか、というよりあの葬儀の終わった辺りから、当たり前のように岳が持つようになっていて、岳はこの鍵で私の家に自由に出入りしていた。
「どうして?」
なんだか急に岳に突き放された気分になってしまう。
こんなに近くにいるのに、岳の気持ちが手の届かないところにあるような気がしてならない。
そんな私の気持ちなんて、知ってか知らずか岳は私に白い歯を見せて笑った。
「これ、返す」
そう言って私に手渡された鍵は、我が家の玄関のカギだった。
お母さんのお通夜があった夜、私が美知おばさんに万が一のためにと預かってもらっていた鍵。
いつの頃からか、というよりあの葬儀の終わった辺りから、当たり前のように岳が持つようになっていて、岳はこの鍵で私の家に自由に出入りしていた。
「どうして?」
なんだか急に岳に突き放された気分になってしまう。
こんなに近くにいるのに、岳の気持ちが手の届かないところにあるような気がしてならない。
そんな私の気持ちなんて、知ってか知らずか岳は私に白い歯を見せて笑った。