千日紅の咲く庭で

「やっと、だな」
「やっと、ね」

２人を驚かせてしまうと思っていたのに、目の前の2人の反応は予想以上にあっけないものだった。

「驚かないのかよ？」

私の素直な疑問を、そのまま口にしたのは隣に座る岳だった。


「だって2人を見ていたら、お互いが思いあっていること位すぐに分かったわよ」
「俺でも気が付く位に、分かりやすかったなぁ」

おじさんと美知おばさんは二人で顔を見合わせて微笑みあった。

2人の言葉に岳の顔を覗き込んでみたら、心底ほっとしたような表情を浮かべている。


「花梨ちゃん、おめでとう」

美知おばさんは手元のビールを一口飲むと私に柔らかく微笑みかけてくれる。

「ありがとう」
なんだか鼻の奥がツンとした。