千日紅の咲く庭で
□□

ガタン、ガタン。

スマートフォンを触りながら、コインランドリーの乾燥機で洗濯物を乾かす。
外はもう真っ暗で、他の乾燥機もフル稼働しているっていうのにお客は私しかいない。


今日は岳は遅いって言っていたから、どうせ家に帰っても一人だからここで備え付けの雑誌を読んだり、スマートフォンを触ってネットで色々なものを検索しては時間を潰している。


最近の検索内容といったら、ほとんどが結婚関連ばかり。


千日紅を見ながら、プロポーズのような言葉を囁いてくれたあの夜以来、話はほとんど進展していない。

「指輪だってまだもらってないし」

クリスマスプレゼントだって、指輪じゃなかったし。

結婚のこと、岳はどう考えているんだろう。

そんなことをぼんやりと考えていた時だった。

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