千日紅の咲く庭で
そんなわけで、私は今ウエディングフォト撮影に向かう岳の車の中にいる。


近くの写真館で簡単に終わる撮影なんだと思っていたのに、岳が連れてきてくれたのは小高い丘の上にある小さな一軒家のレストランだった。


「こんなとこで写真撮影できるの？」

「ここなら見晴らしもいいし、いい写真が撮れるらしいよ」

車から降りながら、率直な私の質問を口にした私に岳は満面の笑顔を浮かべた。その笑顔が何かを企んでいるときの岳の笑顔で、私はちょっとだけ眉をひそめて見せた。


「2人とも、今日はようこそいらっしゃいました」

私たちが車から降りると、待ってましたとばかりに明るい声をかけられる。

タイトな紺色のスーツを纏ったどこかで見覚えのある女性スタッフは、笑顔で私たちに駆け寄ってきた。

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