千日紅の咲く庭で
「それでさ、俺やっぱり花梨と結婚式あげたいんだ。だから、今日、結婚式挙げよう」

「えっ⁉岳、ちょっと何言ってんの?」


話が急すぎて、本当に意味が分からない。
今日、結婚式するなんて、急すぎて出来るはずないじゃない。

それに、私に結婚式なんて…。

「花梨がさ、招待する親戚なんていないだとか花梨の両親がいないだとか、そんな気持ちで結婚式挙げないって言っていたんだって、ずっと気づいてた。」

きっと私の言いたいことなんてお見通しだった岳は、私が口を開く前に私の考えていたことを言い当ててしまったものだから、私は喋るタイミングを完全に見失ってしまう。


「岳…」

「俺、前に花梨に夢の話を聞かれたじゃん?」

あっ、小雪ちゃんとの話の時のことか。

頭の片隅にある冷静な部分が記憶の断片を思い起こしてくれた。

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