千日紅の咲く庭で
結局、東谷くんは我が家の前まで送ってくれた。

「本当にありがとう」
「いえ、気にしないでください」

玄関の前で小さく頭を下げた私に東谷くんは大きく頭を横に振る。


「うん。でも、本当に助かった」


「お互い様ですから。あっ、何か困ったことがあったら、東谷まで」

ひょうきんな笑顔を見せてテレビのテロップを出す人のようにして両手の人差し指で下方向に指をさしながらおどけた東谷くんに、私は噴き出してしまった。


「なにそれ」
肩を揺らして笑う私に、東谷君も安心したような顔をして、笑った。


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