千日紅の咲く庭で
「今度、今日のお礼をさせてね。」


家まで送ってもらった後輩に、お礼しなきゃと思って伝えたら東谷くんは少し考え込むような仕草を見せた。


「いえ、お礼は良いので、また送らせてもらえませんか？」

「えっ?!」

東谷くんの提案に私はビックリしてしまったのだけれど、東谷くんは私が困ってしまったとでも思ったのだろうか、慌てて自分の発言を訂正しようとする。



「いえ、じゃあ、今度ご飯でも一緒に！！」

返事をしようと、頷こうとしたら、東谷くんは失敗したとでもいうように右手で顔を覆った。
東谷くんがこんなにも慌てている様子は始めてみる。

東谷くんって、なんだか慌ただしい。



「あっ、いえ。杉浦さんは今、大変な時期だと思いますので、今度落ち着いたら一緒にご飯でも」
「ふふ、ありがとう」

東谷くんなりに気を使ってくれたらしい。なんだか心がほっこりした。

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