千日紅の咲く庭で
家までたかが3分の距離を、岳と並んで歩く。

帰り際に、お土産だと言って美知おばさんが持たせてくれたのは立派なスイカだった。


美知おばさんは「頂きものをお裾わけ」って笑って言っていたけれど、どう考えても1人じゃ食べきれそうにもない程の大きさだ。

しかも結構重たくて、結局岳がスイカを持って、一緒に帰ることになった。


「1人でも帰れるのに…」

「俺をあの家に置いておく気かよ」


私が頬を膨らませながら呟くと、岳は笑いを堪えるようにしながら、私をジロリと睨むように見て呟いた。

諒くんがうるさいってぼやく岳だけど、ぼやく横顔は誰が見たって嫌そうには見えない。
むしろ、かなり楽しそうに笑っている。


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