魔法をかけて、僕のシークレット・リリー
タイミングを逃し続けていた質問だ。聞いてしまってから、やっぱり失礼だろうか、と思案する。
「ふふ。当ててみます?」
「ええっ」
お茶目な切り返しをされて、ちょっとびっくりしてしまった。
第一印象から今までずっと、彼女は可愛らしくてあどけない。でもごくたまに、横顔が大人びているなあと思うこともある。
「十八……とか」
「あ、惜しい。来年で二十歳になります」
「え!」
右手でピース、左手で丸。二十、ということなのだろう。木堀さんは口元を綻ばせ、来る成人を嬉しそうに語った。
「全然お姉さんじゃないですか! 私、結構フランクに喋っちゃってました……」
ごめんなさい、と私が謝罪すれば、彼女は照れ臭そうに微笑む。
「ハタチなんて、全然お姉さんじゃないんですよ。私も前までは、もっと大人なのかなって思ってました」
「そういうものでしょうか……」
歳が分かった途端、木堀さんが大人びて見えてくるから不思議だ。
そういうものです、と私の口調を真似た彼女に笑い返した時だった。
ドアが荒々しく開き、草下さんが部屋へ戻ってきた。しかし、様子がおかしい。
「草下、どうした」