魔法をかけて、僕のシークレット・リリー
*
「は? なんて?」
夕食後、蓮様のお部屋の扉をノックする。
この時間帯に私が彼の元を訪れることはほとんどない。少し驚いた様子で、蓮様は私に「どうしたの」と促した。
そして。
「ですから……椿様と、外出することになりまして……」
今一度そう述べれば、蓮様は端正なお顔を歪める。
「意味分かんないんだけど。何で君と椿が?」
「それは私もさっぱりなんですが、椿様からお誘いいただいたもので……」
「あっそう」
端的に返答した彼は、「で?」と不服そうに腕を組んだ。
「行くの? それ」
「え、ええと……椿様は蓮様のご友人ですし、お断りするのも失礼かと思ったのですが、ひとまず蓮様にご報告をと思いまして」
本音としては、理由なんてどうでもいいので行くなと言って欲しい。そんな心の叫びを丸ごとぶつけるわけにもいかず、へどもどと言い募ってしまう。
「君は行きたいの?」
後ろめたさに目を伏せていると、蓮様が問うてきた。
心の中を読まれてしまったみたいで焦ったけれど、きっと言うならここしかないと思い、私は意を決して顔を上げる。
「正直、椿様と二人では不安なんです。粗相をしてしまうのではないかと緊張してしまいますし……」
「は? なんて?」
夕食後、蓮様のお部屋の扉をノックする。
この時間帯に私が彼の元を訪れることはほとんどない。少し驚いた様子で、蓮様は私に「どうしたの」と促した。
そして。
「ですから……椿様と、外出することになりまして……」
今一度そう述べれば、蓮様は端正なお顔を歪める。
「意味分かんないんだけど。何で君と椿が?」
「それは私もさっぱりなんですが、椿様からお誘いいただいたもので……」
「あっそう」
端的に返答した彼は、「で?」と不服そうに腕を組んだ。
「行くの? それ」
「え、ええと……椿様は蓮様のご友人ですし、お断りするのも失礼かと思ったのですが、ひとまず蓮様にご報告をと思いまして」
本音としては、理由なんてどうでもいいので行くなと言って欲しい。そんな心の叫びを丸ごとぶつけるわけにもいかず、へどもどと言い募ってしまう。
「君は行きたいの?」
後ろめたさに目を伏せていると、蓮様が問うてきた。
心の中を読まれてしまったみたいで焦ったけれど、きっと言うならここしかないと思い、私は意を決して顔を上げる。
「正直、椿様と二人では不安なんです。粗相をしてしまうのではないかと緊張してしまいますし……」