マザー症候群
その時。
ピーポピーポピーポ・・・。
救急車のサイレンが遠くから聞こえて来た。その音は、だんだんと近くで聞こえるようになり、群衆のすぐ前でサイレンは止まった。
救急車の中から大急ぎで救急隊員が降りて来た。
「どうされました?」
救急隊員が凛の左腕を必死で握り締めている美波に質問をした。
「知人が・・・」
美波が掻い摘んで今までの経緯を救急隊員に説明をした。
「わかりました」
救急隊員は手際よく凛の応急処置をした。そして、もう一人の隊員と凛をストレッチャー(担架)に乗せると、急いで救急車の中に運び入れた。
「あなたもご一緒頂けますか」
救急隊員が美波の顔を見て。
「えっ、私も・・ですか」
美波が困惑した表情をした。
「あなた、この方のお知り合いの方でしょう」
「えっ、まあ・・・」
「それなら、お願いします」
救急隊員は、当然という顔で同乗を勧めた。
「わかりました」
美波は渋々承諾をした。