マザー症候群

「お袋。じつは、折り入って頼みがあるんだけど」
 と、波斗。
 「頼みって」
 「道瑠を家に招待したいんだ・・・。いいかな」
 「あの女を。招待・・・。少し、考えさせて」
 暫し、沈黙。
 美波、思考力を集中。また、集中。
 その時、なぜか。なぜか井本武歳が思考の主役に踊り出る。
 美波、妄想の世界に。
 (私を味方につけた二刀流の井本武蔵)
 (あいや、にっくき佐々木小次郎。こと、榎本道瑠)
 (決闘場所は、ここ食卓島)
 (小次郎の弱点発見!)
 (料理が駄目とな)
 (料理で胃袋を掴めば、勝算ありき)
 (いざ、勝負)
 美波の思考力が纏まった。
 「お受け致す」
 「えっ」
 美波のかしこまった言葉に、波斗が驚いた。
 「あっ、ごめん。考え事をしていて。招待いいわよ」
 「ありがとう」
 (彼女のこと、気に入らなかったのに。この変わりよう。お袋は、何を考えてるのか)
 波斗は美波の考えが掴めなかった。


 
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