マザー症候群
「波斗って何者っすか?」
と、游がポツリと呟いた。
「えっ!」
美波、暫し絶句。
息子だとは、言えるはずもない。
どう、ごまかすか。
美波が考えを巡らしていると。
「答えられない。なら、いいっすよ」
游が先に口を開いた。
「本当にそんな事言っていた」
「ああ、あの瞬間。決まってね」
「嫌ねえ」
美波。恥ずかしさの極み。
(あの瞬間に言うか)
(よりによって息子の名前を)
(そう言えば、叫んだような気もする)
(やばい。やば過ぎる)
美波はあの瞬間を思い起こしてぽーと頬を赤らめた。