高貴なる社長のストレートすぎる恋愛に辟易しています。
「二階堂さん、本当にありがとうございました」

「いいの、いいの。気にしなくて。片桐ちゃんが傷物にならなくてすんだだけでもオレはホッとしてるんだから」

事務所の電話がなり、藤崎社長は急な打ち合わせができたと飛んでいってしまった。

気づけば昼休みに入って、二階堂さんからちょっと待ってて、とわざわざ近くの中華料理屋からランチをテイクアウトしてきてくれて、ごちそうになった。

「でもいいの? 時頼のこと、時宗に話さなくて」

「わたしがいけないんですから」

「片桐ちゃんが悪いわけじゃないんだから。あれは絶対に時頼が悪いんだって」

事務所のドアが開いたので、もしかしたら時頼さんが来たんじゃないか、とドキドキしてしまった。

「ただいま戻りましたよ。で、お二人、何のご相談でしょうね」

「時宗、いいときに帰ってくるなよな。せっかく片桐ちゃんと二人っきりなんだから」

「午後から出向先のお手伝いだったんじゃなかったか? 星彦」

「はいはい、邪魔者はとっとと仕事にいかせてもらうよ。それじゃ、片桐ちゃん、またね」

二階堂さんが出向先にむかった午後、結局、藤崎社長と二人っきりになってしまった。

無言のまま仕事を行っていると、

「つむぎさん、ちょっといいでしょうか?」

藤崎社長がわたしに向かって手招きしてきた。

作業の手をとめて藤崎社長の座る脇に立つと、藤崎社長はわたしの頭からつま先まで舐めるようにみていた。

「つむぎさん、まだおかしいですね」

「おかしいですか?」

「ええ、かなり。吐き出させましょうか、ここで」

藤崎社長の部屋で起こった出来事を思い返す。何も触れていないのに、体がビクンと反応してしまう。

「そう求めているように感じとれますが」

「ち、違います。それに時頼さんが帰ってきたら」

時頼さんの名前が出た瞬間、藤崎社長の顔色が変わった。
< 100 / 122 >

この作品をシェア

pagetop