高貴なる社長のストレートすぎる恋愛に辟易しています。
藤崎社長の束縛からようやく解放されたけれど、社長の目の届く範囲内なのでまた何か仕掛けてくるんじゃないかとドキドキしていた。

そんな心配もよそに就業時間も過ぎ、明日の仕事の支度もすませたので、帰ろうと事務所のドアを開けようとしたときだ。

突然ドアが大きな音を立てて開いた。

「ヨリ、返してよ! あんたヨリのこと知ってるんでしょ!」

事務所の出入り口に仁王立ちするのは、体のラインが浮き出た赤のノースリーブのシャツに同色のミニスカート、高級なカバンと靴を兼ね備えたあのケバい女だ。

「あの、よくわからないんですけど」

「ヨリのオンナなんだよね、あんた」

「知りませんよ。わたしはこちらにお世話になっているだけで」

「知ってるのよ。土曜、ヨリの車に乗ってたでしょ。ヨリのこと諦めて」

「諦めてもなにも」

「好きなオンナがいる。ちっちゃくて動物みたいでそれでもこっちみてくれないっていってた」

結局動物扱いかい、と心のなかで突っ込みをいれるけれど、目の前のケバ子さんは目の色を変えている。

「あんたさえいなかったら、ヨリと一緒になれるんだ!」

ケバ子は怒りにまかせて持っていたカバンを振り上げた。

とっさに身を構えて体を丸めてケバ子からの攻撃をかわそうとしたとき、

「待ちなさい!」

すっとわたしの前に藤崎社長が立ちはだかり、ケバ子の振り上げたカバンが藤崎社長の肩にめがけて当たった。

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