高貴なる社長のストレートすぎる恋愛に辟易しています。
「俺は藤崎時頼。さっきでわかっただろうから、ヨリでいいから。つむぎ」

だから、そのつむぎっていう言い方なんとかしなさいよ。

むすっとしているのがわかったのか、藤崎社長は時頼さんにむけて呆れた顔をしながら、

「つむぎさんの席なんだけど、僕の隣でいいかな?」

と、藤崎社長はきれいに整頓された自身の席の左隣を指差した。

「は、はい」

藤崎社長の隣が自分の席になるなんて。

考えただけで胸が高鳴ってくる。

「兄貴が嫌なら俺の隣にすれば」

と、わたしと藤崎社長のやりとりを冷めた顔つきで時頼さんは口をとがらせている。

「時頼、隣は二階堂くんがいるじゃないか」

時頼さんは、はいはい、そうでした、とつぶやきながら、しぶしぶ社長の向かいの席に座った。

藤崎社長が席につき、わたしも社長の左側の自分の席に腰掛ける。

腰掛けた瞬間、藤崎社長のメガネの奥の瞳が光ったように思えた。

「それよりも最優先の仕事がありますが」

「最優先?」

特別な仕事が舞い込んでいるだなんて、これはドラマチックなことを期待してしまうんだけれど。

「脱いでもらいますか?」

藤崎社長はいたって笑顔なく真面目な顔でわたしに言い放つ。

「脱ぐって?」

「着ているものですよ」

え? 朝から何をいってるの?

これが初出勤で社長命令ってやつなの?

突然おかしなことを言い出したと笑ってごまかしてみるけれど、藤崎社長はじっとこちらを見据えたままだ。

「このまま仕事をするにも、どこに視線を合わせていいかわかりませんよ」

「社長の指示に従え、つむぎ。嫌なら俺が代わりにやろうか?」

と、時頼さんは立ち上がり、自信満々に腕まくりする始末だ。

「そ、そんな。初仕事でこんなこと……」
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