高貴なる社長のストレートすぎる恋愛に辟易しています。
ランチの野菜スープとサラダがテーブルの上に乗せられていく。スープもサラダも盛り付けが鮮やかで目で楽しめるし、食べてみるとスープもサラダもおいしかった。

メインのパスタを待っている間、沈黙が続いていた。あわてて話題を広げようとして、朝のことを振り返る。

「藤崎社長、ジャケットの裾直してくださってありがとうございました」

「いいんだよ。これぐらいは」

と、満足そうに笑みを浮かべている。

そういえば、朝、ぶつかったときに、藤崎社長のジャケットも破れてなかったっけ?

「あの。藤崎社長、ご自身のジャケットのことなんですけど」

「ああ、あれ。オーダーメイドのものだから気にしないで」

一瞬、藤崎社長の顔が曇ったけれど、すぐに優しい顔つきに戻る。

オーダーメイド、って、結構するんじゃないの。もしかして。

「あ、あの、ジャケット、弁償させていただきたいんですけど」

「そうでしたか。では、責任とってもらいましょうか?」

「は、はい。おいくらでしょう」

「まずは食事してからにしましょうか」

と店員さんが湯気を立てながら大きなお皿を運んできてくれた。

ランチとはいえ、このお店のパスタはおいしい。今度はディナーでこのお店を訪ねたいなと思った。

藤崎社長と一緒に小さな声でいただきますとつぶやき、ひとくち、ふたくちと食べ進めていく。

評判のいいお店だけあって、具材も味付けも抜群だ。

藤崎社長もおいしそうに舌鼓を打っていた。

こんないいお店にお昼に連れていってもらえるだけでありがたいのに、藤崎社長のジャケットのことが引っかかる。
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